希望を叶えるために覚えておきたいこと①

以前「不幸せな人間の理由②」という記事で、人が不幸せを感じる原因の1つを「執着が強いこと」と書きました。

しかし「執着」を完全に捨てきることは難しいものです。多くの人は何か実現したい希望や、手に入れたいものがあり、時にはそのために努力を重ねています。それは自然なことです。

現在の日本人の抱える執着には、食欲、睡眠欲、性欲のような生物としての基本的欲求だけでなく、金銭欲、物欲、名誉欲など文明が発達したことで生まれた後発的な欲求も多く含まれています。これらは基本的な欲求と違い、生理的に際限がかかりません。

心の安定を考えながら、意識的にコントロールしていくことが必要なのです。

さて今回は、実現したい希望をいかに叶えるかという話です。

世の中にそのような希望はあふれていると思います。例えば「いい車が欲しい」「スポーツの大会で優勝したい」「会社の営業でトップになりたい」「結婚したい」など、色々あるでしょう。

猿と筒の話をご存知でしょうか。細長い筒に穴が空いていて、その中に餌があります。猿は手を穴から入れて、餌をつかむことが出来ますが、拳を握ってしまうと穴から手を出すことが出来ないという話です。

希望を叶える本質はこの話の中に含まれているように思います。

哲学者
何かを手に入れようとすると、何かを手離す必要があるのじゃ

いい車が欲しければ出費がかかります。その分、たくさん働くか何かを我慢する必要が出てきます。スポーツの大会で優勝したければ、厳しい練習や体調管理が不可欠です。営業でトップになりたければ、その分セールスの勉強をして、訪問の数を重ねることが必須です。相手から断られたり、時には罵倒されたりするでしょう。それに耐え続ける精神を求められます。

結婚するには、相手を探すための労力も必要です。結婚したら自由に時間やお金を使うことが出来なくなるかもしれません。伴侶の親族との付き合いも始まります。将来設計のために煩わしくも頭を使うことも増えるでしょう。

希望を叶えるためのデメリットを客観的に考えた時、多くの人は「そこまでしなくてもいい」と判断します。

輝かしく、良さそうに見えるものほど、その分辛いことがあったり、何かを犠牲にしていたりするものです。

デメリットを享受しても、実現できないことがあるのも事実ですが、多くの人はその前の段階であきらめています。冷静に損得を計算して、希望を叶えない方を選択しているのです。

それが多くの人の希望が叶わない本質のように思います。

それと、何かを選択するというのは、選ばない何かを決める行為でもあります。他の可能性を手離さないと得ることもできないのです。

上の例で言えば、誰かと結婚することは他の誰かと結婚する可能性を手離すことです。あるスポーツに邁進するということは、他のスポーツの可能性を手離すことでもあります。

このような考え方は、心理カウンセラーの心屋仁之助さんもよく書いていて「望んでいるものが手に入らない本当の理由」(ぱる出版)という本でも言及されています。

逆に言うと、その希望に付随する嫌なこと、面倒なこと、辛いことを克服すれば、希望が実現する可能性はずっと高くなります。

希望が実現しない時、このような考え方で今の自分を見直してみてはいかがでしょうか?

ABOUTこの記事をかいた人

兼業作家。2023年4月『園井恵子 原爆に散ったタカラジェンヌの夢』(国書刊行会)上梓。歴史全般が興味の対象ですが、最近は大正~昭和の文化、芸術、演劇、映画、生活史を多く取材しています。プロフィール写真は愛貓です(♂ 2009年生まれ)。よろしければTwitterのフォローもお願いします。(下のボタンを押すとTwitterのページに移動します)。